
能「高砂」から、住吉明神を描きました。
高砂は、室町時代から祝言曲として、親しまれてきました能です。
高砂の物語は、
春の初めの候、肥後国・阿蘇神社の神職友成が、播磨国の高砂の浦へと足を運んだ時のこと。
松の木陰を掃き清める老夫婦に出会う。
相生の松の謂われを尋ね、答えてから老夫婦は実は相生の松の精だと告げる。
そして住吉で待つと言い残し小船を漕ぎ出し消えていく。
月の出とともに二人の後を追って友成が住吉の岸に着くと、
澄んだ月明かりのもとに住吉明神が降臨する。
住吉明神は神々しく颯爽と舞い、悪魔を払いのけ、君民の長寿を寿ぎ、平安な世を祝福するのでした。
というお話です。
相生の松というのは聞きなれませんでしたが、調べてみると
「相生の松とは、雌株・雄株の2本の松が寄り添って生え、1つ根から立ち上がるように見えるもの。また、黒松と赤松が1つの根から生え出た松のこと。
松は永遠や長寿を象徴することから、相生の松は特に縁結びや和合、長寿の象徴とされる。
高砂の松と住吉の松とが相生の松であるとし、夫婦和合をうたっている。」(Wikipediaより)
ということでした。とってもおめでたい松なのですね、
ちなみに相生の松は日本各地にあるそうですが、この高砂神社のものが特に有名だそうです。
最後の住吉明神が颯爽と舞う場面は、付祝言として謡われます。
難しいところもありますが乗りも良く、とても颯爽とした気持ちになる部分です。
使用している面は「邯鄲男」
装束には桐や亀甲花菱の紋が描かれています。
袴は立涌文様。全て開運などの柄に繋がる紋様が使用されています。
月の下で颯爽と舞う住吉明神と、相生の松、住吉の岸なので海を表現しました。
装束に描いてある植物が何の花であるのか最初は分からず、使用している扇を調べてみたところ、
「 商山四皓桐鳳凰図(しょうざんしこうきりほうおうず) 」
と出てきたので、桐の花かと思い調べてみるとそれらしいものが沢山出てきました。
鳳凰は天下泰平の吉兆に現れるという言い伝えがある中国の伝説の鳥だそうです。
桐は鳳凰が宿る木として神聖視されたとのこと。
実際に見たことは無いですが、薄紫や白の花が咲くそうです。
桐と聞いても私の少ない知識では桐箪笥しか知らなかったので、花は思い浮かびませんでした。着物の植物は特定するのがとても難しいですね、
腰帯(薄い板が入っている細長い帯)の柄は、三つ巴に九曜紋です。
鳳凰の柄の狩衣を着ているバージョンなども、またいずれ描いてみたいと思います。
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