能楽「道成寺」から、蛇体(毒蛇)と鐘を描きました。
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◆ あらすじ ◆
紀伊の国、道成寺では春爛漫のある日、再興した釣り鐘の供養が行われることになりました。
住職は、訳あって女性が来ても絶対に入れてはならないと言いますが、
一人の白拍子の女が供養の舞を舞わせてほしいと寺男に頼み込み、供養の場に入り込みます。
女は独特の拍子を踏み、舞いながら鐘に近づき、ついに鐘を落としてその中に入ってしまいました。
ことの次第を聞いた住職は、道成寺にまつわる恐ろしい物語を語り始めます。
それは、昔、真砂の荘司の娘が、毎年訪れていた山伏に裏切られたと思い込み、
毒蛇となって道成寺の鐘に隠れた男を恨みの炎で鐘もろとも焼き殺してしまったというものでした。
女の執念が未だにあることを知った僧達は、祈祷し鐘を引き上げることが出来ましたが、
鐘の中からは蛇体に変身した女が現れます。
争いの末、毒蛇は鐘を焼くはずがその炎は猛火となって蛇体を焼き、日高川の底深く姿を消していくのでした。
道成寺(天音山道成寺)は和歌山県にある天台宗の寺院です。
和歌山県で最古のお寺で、大宝元年(701年)に創建されました。
4年程前に和歌山に旅行に行った時に一度行きましたが、鐘は確か見れませんでした。
調べたらお寺で「安珍清姫」伝説の説法の講演もやってるみたいです。知りませんでしたが、また行く機会あれば聴いてみたいです(*’▽’)
前述の通り「安珍清姫」伝説でよく知られているお寺で、
道成寺を舞台にした演目は能だけでなく歌舞伎(京鹿子娘道成寺)や浄瑠璃の人形劇にもあるそうです。
調べていたら神楽にも安珍清姫の演目がありました。
こちらは面がさらに怖いですが、迫力があって面白そうです!
能の道成寺は「乱拍子」や「急ノ舞」など、この演目ならではの見せ場が多く、演じる方も観る方も気を抜けない特別な能だそうです。
乱拍子は前シテの白拍子が僧たちが寝入った隙を見て鐘に近づいていく場面ですが、
シテと小鼓がお互いに間を読みあって、小鼓の音と同時にシテが拍子を踏みます。
その後、急ノ舞に入り調子が一気に早くなります。
鐘の中に入る場面も、鐘を落とす「鐘後見」と呼ばれる役が重要だそうで、経験を積んでいないと出来ないそうです。能楽堂には、道成寺の為だけに鐘の紐を掛ける滑車が付いています。
鐘は60~80キロ程の重さがあるそうで、間違えたら怪我をしてしまうので大変です(@_@;)!
シテは、この鐘の中で一人で装束や面を付け替えます。真っ暗でしょうし、唯の洋服ではなく装束なのでどうやって付け替えれるのか想像もつきません。。しかも着替えた後の脱いだ装束が無いんです(笑)
是非一度観に行ってみたい能です。
今回描いた絵の背景には道成寺の鐘と、龍に見えますが安珍清姫伝説に出てくる蛇を描いています。
鐘の底知れない不気味な威圧感や圧迫感が伝わるよう意識しました。
後シテの蛇体のかけている面は、「真蛇」という面です。
般若面の中でも最も罪業が深く、ほとんど蛇になってしまった面だそうです。
耳はなく、口は裂け、舌が覗き牙は長く、髪はほとんどなくなっています。
とても禍々しくて怖い面ですが、目の辺りがどこか哀しみを帯びているように見えます。
丸紋の柄の装束を下に着ていますが、これが女性の怨霊の姿の特徴なんだそうです。
「葵上」や「鉄輪」でも着ています。
丸紋は華やかな感じですが、黒地に入っているのは確かにちょっと不気味かもしれません(;´・ω・)
道成寺は、白拍子の姿の場面も良いのでそちらも描いてみたいですし、赤い髪の「赤頭」という演出もガラッと雰囲気が違って良いです。
般若面を描くのは楽しいのでまた機会があれば挑戦してみます。
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