西王母(seioubo)


能「西王母せいおうぼ」から、西王母が天女の姿で現れ、桃の実を献上している場面を描きました。


西王母のあらすじです

中国の周の穆王ぼくおうの元に美しい貴女が現れます。

この花は、三千年に一度だけ咲くという桃で、帝王の威徳により、時機を得て今咲いたのだと女は言い、この花を帝王に捧げました。

この女は西王母せいおうぼの化身であり、桃の実を持って来るために一度天上へ帰って行きます。

王が管弦の催しを開いて西王母を待っていると、西王母が天女の姿で現れました。

西王母は侍女に持たせていた桃の実を帝王に献上します。

喜びの酒宴が始まり人も花も酔うなかで、西王母は軽やかに舞を舞い、御代を寿ぎながら、

春風に乗って、極楽の鳥である孔雀と鳳凰と迦陵頻伽かりょうびんがが飛び交う天へと上がり、消えていきました。




この能は古代中国の西王母伝説が基になっています。

西王母は中国で信仰された仙女で、すべての女仙を支配する最上位の女神だそうです。

三千年に一度実る桃の木を持っており、その実は不老長寿の妙薬とされていました。

桃の実は、古代以来、中国や日本において、不思議な力をもつ果実であると考えられてきたようです。

周の皇帝である穆王は西の彼方にある、神々が住むとされた崑崙山こんろんさんに立ち寄った際に西王母に会い、

その後入朝したという事が穆天子伝(ぼくてんしでん)という中国最古の歴史小説にまとめられているそうです。

日本が舞台の演目ではありませんが、神秘的で不思議な雰囲気を持っていると思います。

桃の花や実が出てくるので、春という季節も感じられる能です。(*´▽`*)


着物と天冠は鳳凰、西王母の後ろに飛んでいるのは迦陵頻伽かりょうびんがです。

迦陵頻伽は、極楽浄土に住んでいるという仏教の想像上の生物だそうです。

上半身は人で、下半身が鳥です。最初はハーピーのような生物かと思いましたが、

日本では菩薩型の上半身で描かれるそうです。絵では笛と笙(しょう)を持っています。

詞章の中では孔雀や鳳凰と飛び交っている様子が書いてありますが、断念しました(笑)

登場する桃の花の助けもあって、春らしい雰囲気で描けたと思います。

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