能楽「藤」から、藤の花の精を描きました。
◇◆◇あらすじ◇◆◇
都の僧が、加賀の国より北陸道を経て、善光寺参詣に向かいました。
その途上、越中国氷見(富山県氷見市)の多祜の浦に差し掛かります。
美しい藤に目を留めた僧は、思わず古い歌を口ずさみました。
その歌の内容は、藤の花を賛美するものではありませんでした。
すると、そこに一人の女が現れ、ここ多祜の浦は藤の名所なのに、なぜ藤の美しさを讃えるような古歌を詠じないのか、と咎めます。
僧が昔のことをよく知るあなたはどういう人か、と女に問いかけると、女は藤の精であることを明かし消えていきました。
夜半、僧がまどろんでいると、僧の夢枕に藤の精が現れます。
そして、草木国土悉皆成仏の御法にひかれて僧のもとに現れたのだと教え、仏法に浴した喜びに舞を舞います。
やがて明け方となり、精霊は朝日の訪れとともに姿を消していくのでした。
前回描いた「杜若」と少し似たような能です。
「藤」の舞台は多祜の浦という場所です。
現在は埋め立ての為残ってはいませんが、富山県氷見市の南にあった布勢の湖の湖岸で、藤の名所として知られていたそうです。
その為、多祜の浦と藤の花が登場する歌も多く詠まれてきたようです。
多祜の浦は残ってはいませんが、この能にゆかりのある神社がありました。
同じく氷見市にある田子浦藤波神社という神社です。
越中国守・大伴家持が布勢の海に遊覧した際に、田子の浦周辺の藤の花の美しさを愛し
「 藤波の 影成す海の 底清み しずく石をも 珠とぞ吾が見る 」
《 藤の花が美しく咲き、影がうつる湖の底までも清く澄んでいるので、水の底に沈んでいる石でさえも珠かと見誤るほどだ。》
と詠まれた歌が万葉集にあります。
また、樹齢の長い大きな藤の老木があり、神社の鳥居に覆いかぶさるかのように白藤が咲くようです。
写真でしか見ていませんが、とても雰囲気のある古木です。
祭神についてははっきりとした記載がなかったため分かりませんでした。
今度富山に訪れた際は一度参拝してみようと思います。
最近は季節の変わり目のせいか体調を崩しやすく、曇り続きだったので気分も乗らず筆がかなり遅くなりがちです(@_@;)
多祜の浦は残っていないのでイメージですが、藤の花と湖が融合したような背景にしてみました。
今回はフリー写真を加工して合わせて背景にしました。
最初は描こうとしましたが、藤を描くのが想像以上に難しく、どう描いても藤の精としっくりこないので写真素材をお借りしました~(~_~;)
天冠に載っている藤は描いています(笑)
本当は話の中では月夜で舞っているので明るいのもおかしいのですが、これはこれで明るくて良い感じになったのでこちらで完成としました。
植物を上手く描けるようになりたいです。。
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