羽衣より、天女を描きました。
羽衣のあらすじは、
春の朝、三保の松原に住む漁師・白龍は、仲間と釣りに出た折に、松の枝に掛かった美しい衣を見つけます。
家宝にするため持ち帰ろうとした白龍に、天女が現れて声をかけ、その羽衣を返して欲しいと頼みます。
舞を見せたら返そうと言いますが、羽衣を返したら舞を舞わずに帰ってしまうだろう、と疑う白龍に天女は、
「いや疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」
と返します。
正直者の白龍は、そんな天女の言葉に感動し、衣を返すのです。
羽衣を着た天女は、月宮の様子を表す舞いなどを見せ、春の三保の松原を賛美しながら舞い、やがて彼方の富士山へ舞い上がり、霞にまぎれて消えていきました。
書いてある詞章です↓
時移って 天の羽衣
浦風にたなびきたなびく
三保の松原浮嶋が雲の
愛鷹山(あしたかやま)や
冨士の高嶺
かすかになりて 天つみそらの
霞に紛れて 失せにけり
風土記の羽衣伝説が題材となっているそうです。
「羽衣」は天女が纏っている、空を飛ぶことが出来る不思議な布の事です。
この羽衣はお話的にも難しいところが無く、昔から多く上演され、現在に至るまで大変人気のある演目となっています。
話の舞台は駿河の国の三保松原。
静岡県静岡市清水区の三保半島にあります。
総延長7キロメートルで、5万4000本の松林が生い茂る海浜と、駿河湾を挟んで望む富士山や伊豆半島の美しい眺めで有名です
その美しさから日本新三景(大沼、三保松原、耶馬溪)、
日本三大松原(三保の松原、虹の松原、気比の松原)のひとつとされ、国の名勝に指定されているそうです。
曲中で男が羽衣を返してくれないと嘆いている天女を哀れに思い、天女の舞を見せてくれたら羽衣を返そうと天女に言います。
天女は舞を舞うことを約束しますが、男は羽衣を手渡したら舞を舞わずに帰ってしまうのではと疑ってしまいます。その男の疑いの言葉に対して天女は、
「いや疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と毅然と言います。
【 疑うという行為は、人間の世界のものであって、天上界には偽るということはない。】
という意味合いになりますが、この言葉に白龍は、自分が疑いの心を持った事を恥じて天女に衣を返すことになりました。
現代は昔よりも便利になった分、気を付けないと危険な目にあったりするので疑うなんて日常茶飯事という方も多いんじゃないでしょうか。
私も今まで出会った人の中で人を疑って信じられないタイプの人とは多く出会いました。
しかし、そういった方と接する中で感じたのは、疑いの心を持っていてもプラスの物事には転じないという事です。
人を疑ってばかりの人は他人の悪いところばかり口にしがちです。
そうすると、人からも絶対に良くは思われなくなってしまいますし、信頼も得られません。
私は身の周りにそういう方が数人いたので、反面教師でそういった方の良い面を見つけ、信じてみようと心がけるようにしていました。
そうすると、他の人には態度が悪いままでも私に対しては少しずつ砕けた話をしてくれるようになったんです。ちょっと信頼してくれるようになったのかなと。
でも難しいのが、他の人から聞くその人達の悪口が多いのでどうしても嫌な気持ちになり、いつの間にかまた他に同調して疑ってしまうときもありました。
私が前に居た職場が酷かっただけかもしれませんが(;´∀`)、お互いが疑う心を持つのを辞めてそれぞれの良い面を見つけ、尊重し合い、信頼関係を持つ事が出来たら素晴らしい職場になれるんだろうなあと日々思いながら働いていました。残念ながら力不足でしたが(笑)
今の世界や日本の状況ではそれも一層遠ざかりそうで怖いですね。。
話が逸れましたが、羽衣は純粋さを思い起こさせてくれる、とても素敵な能だと思います。
舞も謡もとても華やかです。youtubeでも沢山出ていますので、試しに観に行ってみて下さい!
平和な世界になりますように。
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