杜若(kakitsubata)



能楽「杜若かきつばた」より、杜若の精を描きました。




杜若のあらすじです

旅の僧が三河国八橋にさしかかると、杜若が美しく咲き乱れていました。


僧が花を眺めていると、そこへ一人の女が現れ、
この地はかつて在原業平が歌に詠んだ杜若の名所で八橋(やつはし)というところだ、と教えます。


やがて日も暮れ、女は侘び住まいながら一夜の宿を貸そう、と僧を自分の庵に案内します。


女はそこで装いを替え、美しく輝く唐衣を着て、透額の冠を戴いた雅びな姿で現れます。


唐衣は先ほどの和歌に詠まれた高子たかこの后のもの冠は歌を詠んだ業平なりひらのもの、と告げ、この自分は杜若かきつばたの精であると明かします。

杜若の精は、業平が歌舞の菩薩の化身として現れ、衆生済度しゅじょうさいどの光を振りまく存在であり、その和歌の言葉は非情の草木をも救いに導く力を持つと語ります。そして、伊勢物語に記された業平の恋や歌を引きながら、幻想的でつややかな舞を舞います。


やがて彼女は、和歌の功徳によって草木の身ながら成仏が叶ったと言い遺し、夜明けとともに消えてゆくのでした。





平安時代の伊勢物語いせものがたりを題材にした能です。


伊勢物語は作者不詳で全125段からなる短い文や歌で構成されています。
それぞれの冒頭が「昔、男ありけり・・・」と始まりますが、この物語の主人公のモデルは在原業平ありわらのなりひらだと言われているそうです。

在原業平は平安時代の歌人で、容姿端麗であった上に和歌を詠むのが大層上手だったので多くの女性と関係がありました。


源氏物語の光源氏とごちゃまぜになりそうですが(笑)、業平はちゃんと実在した人物です。

演目の中にも出てきますが、二条后(藤原高子)と業平は思い合った中でしたが、身分違いの為結ばれることはありませんでした。




高子が帝に入内する前に関係があり、駆け落ちして逃げようとしましたが失敗してしまいます。


高子は別邸へ移され、業平は藤原氏に目をつけられてしまい京から離れ東(関東地方)へと下ります。

その部分が伊勢物語の「東下あずまくだ」という部分になるようです。

この東下りの途中で三河の八橋やつはしという所に寄りますが、そこが現在の愛知県知立市にある八橋かきつばた園という場所です。


八つ橋と聞いても私は京都のお菓子しか出てこなかったので調べてみましたが、(;´∀`)
「小川、池などに、幅の狭い橋板を数枚、折れ折れに継ぎ続けて架けた橋。」の事だと出てきました。

↓こちらのHPで紹介して下さっており、八つ橋のような足場も観られます(#^^#)↓
四季の花巡りガイド」様

この場所で杜若の美しさに感動して「かきつばた」の5文字を使い

らこ(ご)ろも つつなれにし ましあれ るばるきぬる びをしぞおもふ」と詠まれたと書かれています。

この能の中では業平も高子も登場はせず、杜若の花の精と旅僧の2人のみが登場しますが、杜若の精が装いを代える場面は

唐衣(からころも)が平安時代の公家の女子の正装なので女性を表し、

透冠(すいかんむり)は男性を表しています。

つまり、杜若の精の姿は業平と高子が合わさったような存在を表現しているそうです。

よく考えると不思議な存在ですね。


なぜ謡の中で業平が菩薩の化身と語られているのかは分かりませんでしたが、業平の和歌の功徳の力によって草木の身である杜若も成仏することが叶ったと僧に語っています。






少し脱線しますが、杜若とアヤメと菖蒲って分かりくいと思われたことはないでしょうか?(;´・ω・)

よくよく調べてみると、まず咲く時期が違いました。


杜若・・・・・・・5月中旬
あやめ・・・・・5月中旬~下旬
菖蒲・・・・・・・6月~7月中旬

生息地も、あやめは陸地杜若は水の中菖蒲は水辺と違いもあるそうです。

とても似てますが植物の科の分類とかも正確には違うみたいですね。
今回杜若の花を描いていて、少しアヤメや菖蒲と比べると花びらの形がカクカクしてるかも?と何となく感じました。


菖蒲は花自体が大きいので並べれば(笑)少し見分けがつきやすいかもしれないです。


でも写真などで見る限り見分けるのはやっぱり難しそうですね(@_@)昔の人は間違えなかったんでしょうか・・?

また、「杜若」で慣れ親しんでいますが「燕子花」でも同じようにかきつばたと呼ばれるそうです。花の姿がツバメを思わせることからそう表記されていたようです。







イラストでは、紫の長絹に「業平格子」という文様が薄く入っています。
能の装束ではその格子文様のみが多いようですが、少し絵では寂しかったので瑞雲や花を加えてみました。

面の横に着けている黒いファサファサした物は老懸(おいかけ)といいます。
武官の正装の冠につけて顔の左右を覆う飾りで、馬の尾の毛で扇形に作ったものだそうです。


あまり見られない装いなので面白いなと思ったんですが、描きにくくて四苦八苦していました(T_T)


透冠から垂れ下がっている赤い飾り紐は日陰の糸といいます。
神事などでも使われるそうですが、華やかになって良いですね~(*’▽’)

また、今回背景の杜若や橋はCoral Painterを使って描いてみました。

少しづつ練習していますが、なかなか難しくて扱えません。。
よく見るとまだまだ形の取り方が下手ですが、それっぽくは描けたかなとは思います。

Painterのブラシは面白い表現も色々できると思うのですが、数が多すぎて中々把握できません((+_+))

解説動画とかも少ないので余計に難しいですね~

今月は「藤」も描きたいので、綺麗に描けるよう頑張ります!

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